今日はサナとおじいさんが、井之頭公園に行きます
モノレールに乗って立川駅へそれから吉祥寺駅です。モノレールで立川駅へ着きました。
階段を下りて歩けばJRの立川駅です。
サナ『おじい様、みなさん左側を歩いていますね。以前おじい様が、江戸時代は武士が刀を左に刺していたので、人にあたらないように左歩きだったと言われた通りですね』
おじいさん『そうだね、立川駅は行儀がいいね。気にせずに歩く人もいるけどね』
JRの改札に入りました。そうすると降りた人、乗る人大変なにぎわいです。
サナ『おじい様、降りている人が多いからどのように歩けばいいのでしょうか」
おじいさん『近い階段に行くしかないな』
サナ『ひとの前を横切ると、江戸では「横切りしぐさ」と言っていけない事でしょう』
おじいさん『サナの言うとおりだけど、この混みようではそんなことは無理だから迷惑にならないように「肩引き」で抜けるしかないよ』
サナ『肩引きという手がありましたね。そうするとぶつかりにくいですね』
おじいさん『サナには、笑わされるね。うふ』
サナ『無事にプラットホームに着きましたね。並びましょう』
おじいさん『今日は思ったより空いているね。良かったね』
サナ『はい、電車が来ました。おじい様、空いていますね。乗りましょう』
おじいさん『そうだね、座ろうね』
サナ『おじい様びっくりしますね』
おじいさん『どうしたんだ』
サナ『ほとんどの人が、携帯を触っていますよ。電車に乗ってまで携帯をしなければならないのでしょうか。忙しいのですね』
おじいさん『そうではなさそうだよ。友達にメールしているか、ゲームをやっているかだよ』
サナ『確かにそんな感じですね。何か他の事で時間を使った方がいいですね。携帯依存しぐさですね』
おじいさん『そうだね。うまいこというね。私たちは、今から行く、井之頭公園についてでも話そうか』
サナ『そうですね。どういうところですか』
おじいさん『江戸にとって凄く大切なところなのだよ』
サナ『そうですか、どんなことですか』
おじいさん『江戸の水源地だったのだよ』
サナ『そうなのですか。びっくりですね』
おじいさん『三代将軍徳川家光が「井の頭池」と命名したと伝えられているのだよ。その意味は「上水道の水源」「この上もなくうまい水を出す井戸」という二つの説があるのだよ。「井の頭池」は初めて江戸にひかれた水道、神田上水の水源であり現在に近い水道が出来るまで飲み水として使われていたそうだよ』
サナ『江戸の人たちにとっては大変大事なところですね』
おじいさん『井の頭公園の正式名称は、井の頭恩賜公園(いのかしらおんしこうえん)と言うのだよ』
サナ『恩賜公園とは、どういう意味ですか』
おじいさん『第2次世界大戦前に宮内省が御料地として所有していた土地が、公に下賜(恩賜)され整備された公園の事だよ』
サナ『どうして恩賜されたのですか』
おじいさん『昭和天皇の成婚を記念して言うそうだ。そういえば、今年(平成29年)で丁度100年目だそうだよ』
サナ『そうなのですか。他には恩賜公園はないのですか』
おじいさん『他にはね、上野恩賜公園、猿江恩賜公園があるね』
サナ『おじい様は、全部行かれましたか』
おじいさん『猿江恩賜公園は行ったことないな』
サナ『おじい様、次行きましょう』
おじいさん『わかった。そうしよう』
サナ『おじい様着きましたよ。降りましょう』
二人は電車から降りて公園に行きました。
公園は、紅葉・黄葉がきれいです。
サナ『おじい様 紅葉がきれいですね。初めてきましたけど、こぢんまりとして、いいですね』
おじいさん『そうだね、綺麗だね』
サナ『スワンボートが沢山あって可愛いね。おじい様乗りましょうよ』
おじいさん『そうだな、爺とだったらいいか』
サナ『どう言う事ですか』
おじいさん『恋人同士だと別れるという迷信があるのだよ。サナも覚えておいた方がいいよ』
サナ『まだまだ、先ですけど覚えておきます。漕ぎますよ』
おじいさんとサナは、ボートに乗って小春日和を楽しんでいます。
食事をして、お茶して、動物園によって16時になりました。
少し寒くなったので帰ることにしました。
吉祥寺駅に行くと結構混んでいました。
整列して並んでいます。電車が来ました。多くの方が降りられました。席が少し開いて
います。高校生の女の子たちが、走って空いた席に座ります。
それを見ていたサナは、
サナ『おじい様、私さみしいです。どうしたのだね。私よりお姉さんでしょ。ちょっとマナーにかけています。お年寄りの方が入られたけど譲る気が無さそうですね。乗りましょう』
おじいさん『サナの言うとおりだったね。そしてぺちゃくちゃ喋っているね。まわりの迷惑を考えていないね。こういう時は、注意した方がいいと思うが、どうかな』
サナ『江戸しぐさの中で考えたら、注意をするのが当たり前だと思いますが、現在では半切れされるから出来ないですよね』
おじいさん『そうだね。難しいね。今日は、そばにサナがいるから、安心だね。何かあったら声出して応援してくれるかな』
サナ『おじい様止めてください。何かあったら困ります』
おじいさん『何か起きたら、サナが他の人にお願いしてくれるのだよ。いいね』
おじいさんは女学生に、『皆さん、申し訳ないけど、少し声が大きくて迷惑しています。少し小さい声で話して頂けませんか』そうすると
リーダー格の子が、『すみません。夢中になっていたので』と、言って小声で話しはじめました。
そして、近いところにいた、お二人の老女の方に気づき、席を譲りました。
おじいさん『サナ、みんないい子ではないか。話せばわかるのだよ。ちょっと勇気がいるけどね。外見だけで人を判断してはいけないな』
サナ『おじい様判りました。でも、今は、難しいです。でも、これから努力して強い子になります』
おじいさん『みんなから尊敬されるような子になることを期待しているよ』
サナ『はい、少し混んできましたね』電車がゆれました。
おじいさん『痛い』おじいさんは、足を踏まれました。
若い女性『申し訳ございません』
おじいさん『こちらこそ、申し訳ございません。気にしないでください』
若い女性『本当にすみません』
おじいさん『いいです、いいです』
その女性の方は次の駅で降ります。
若い女性『失礼します』
おあいにく目つきで会釈をされました。
サナ『すごく感じのいい方でしたね。江戸しぐさがきちんと出来ていましたね。私も今
の方のようにきちんとできるように癖にしなければいけませんね』
おじいさん『そうだね。頑張れサナ』笑う
次は立川駅です。二人は降りました。
モノレールに向かいます。駅で7分の待ち合わせです。
おじいさんは、玉川上水の文字を見て。
おじいさん『サナ、この先の玉川上水というところを覚えているかな』
サナ『鯉のいる川だよね』
おじいさん『そうだね、あの川も江戸に生活水として送っていた川なのだよ』
サナ『そうなのですか。そんなに歴史があるのですか。びっくりです』
おじいさん『現在があるのも過去の積み重ねだからね。用をたさなくなったからと言って何もかも破棄することは良くないよね。何らかの形で残っていると、後世の人に何か語ってくれそうな気がするね』
サナ『そうですね、歴史散歩するのもいいですね。おじい様そうしましょう。サナが少し調べておきます』
おじいさん『そうか、いいな、行く場所が決まったら爺も調べておくね。この歳になって勉強するとは思わなかったな。嬉しいな。サナのおかげだね。ありがとう。どんどん生きている張りがでるな』
サナ『おじい様元気が出るのだったら、サナはいつでもお供しますよ。電車が来ました。乗りましょう』
自宅まで乗り物を入れ十数分のわずかな時間だけど、サナの優しい言葉を感じて帰路に
つきました。
おしまい