江戸しぐさとは
《おじいさんと孫娘のサナが話しています》
サナが「おじい様、江戸しぐさの勉強をされていらっしゃるけど、どのようなものなのですか」
おじいさんは「簡単に言えば、江戸時代の人々が、自分たちで、まほろば(理想郷)の町づくりを目指した生活の知恵のことだよ。」
サナは「江戸時代、昔のことですね。なぜ、それを今になって学んでいるのですか」
おじいさんは「最近つくづく思う事があるのだよ、どのような事かというと、美しい日本語、作法、考え方が無視されてきているように思えるんだよ。だから、爺は、過去の人達の考えを再度見直して、いいと思えることを残していきたいと思うようになったんだよ。サナだけでもいいから、爺の心を伝えられたらいいと思うのだけどね。」
サナは笑いながら「おじい様、素敵な事ですね。お話を聞かせて頂けますか。そのお話の中から自分の出来るものを探してみたいです」
おじいさん「サナ本当かい。爺の話しを聴いてくれるかい。嬉しいな」
サナ「おじい様はサナをどこに出しても恥ずかしくない娘にしたいと思っているのでしょう。私は嬉しいですよ。おじい様とお話しできる事が、一番楽しいから」
(おじいさんは少しうるっときています)
おじいさんは「今日は、少しだけ話そうね。420年ぐらい前、徳川家康によってつくられた町が江戸で、現在の東京だよね。江戸人によって今の東京の基礎が出来たんだよ。平地が少なく、沼地を埋めたりして大変だったそうだよ。本当に一からの出発だったんだろうね。想像できないいろんな苦労があったと思うよ。その中で武士も町人もお互いに助け合って生きて来たのだね。その生き方をまとめたのが芝講師の作った「江戸しぐさ」の中に入っているのだよ」
サナは「難しそうですね。ますます、興味がわいてきました」
おじいさんは「難しくはないんだよ。今につながっているものの考え方や生活習慣だからね。ただ、時が過ぎていろんな文化が入り、日本の文化が忘れられていっているんだよ。だから、昔から伝わっていることでも、初めて聞くような言葉なんかがありちょっと戸惑っているんだと思うよ。よくよく読むとだんだんわかって来るんだけどね。こんなことをやっていると婆婆から暇人に思われるんだけど、爺はこれからの人に少しでも多く伝えて行きたいと思うよ。」
サナは「おじい様、いい事されていますよね。サナも少しずつ覚えて行こうと思います。おじい様どんどん教えて下さいね」
おじいさんは「サナありがとう。まずは、日本の、言葉の文化・生活の文化・考えの文化を調べてほしいな。そうして自分の国の歴史を知れば、そこにどのような人たちがいたかを知ることが出来る。その様な人たちが、今の日本を作ったという事が判るのだよ。良い事、悪い事いろいろあるがそれを乗り越えて今の時代があるんだよ。理解できていくと、日本人としての自覚が自然に芽生え。自分が変わり、自然と立派な人間として成長していくんではないかな」
サナは「何故かワクワクしてきました。見たこと、知らない事の世界に足を踏み入れられる喜びを感じます」
おじいさんは「そうだね、サナと散歩したり、食事したり、落語などを聞いたりしながら出てくる江戸しぐさから学んでいこうね。楽しくなるよ。どんなところにも江戸しぐさはあることがわかるよ。な~んだこんなこともそうなんだと思うと、人と人とのつながり自然への感謝とかいろいろだよ。あまり話すとつまらなくなるからやめよう。明日から少しずつ話していこう」
サナは「明日、おじい様と会う事が楽しみです。嬉しいな、新しい世界が見られるね。おじい様、明日も来ます。さようなら」
おしまい